観測者 2021-09-18 20:02:12 |
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>37 メビウス
( 街と呼ぶには遮るものが無さすぎるこの場所で、その発砲音は遠く彼方まで響く。耳あてを忘れてしまったが故に鼓膜の奥で耳鳴りがする。だがそれも気にならないほど興味深いものが目の前にある。少しずつ歩を進め、"それ"との距離を縮めていると、なにかがひょこりと顔を出す。私の目には人間に見えるが、銃弾を受けて無事な人間などいない。得体の知れない "それ" は、じっと私を見つめると二度寝でもするかのようにまた雪の中に顔を隠す。本当になんだ、あれ。危険因子と確定し、もう一度銃を構えた。そっと近付きながら雪に埋もれている "それ" を覗き込む。雪の白に映えるブラッドレッドの髪、そして髪と同じ色に染まる腹部。特に罪悪感が湧くことも無く、きちんと命中したことに良かったと思った。取り敢えず、と構えた銃を "それ" の額に当てて怪訝な表情で伝える )
お前、人間か?
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