観測者 2021-09-18 20:02:12 |
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>ファウスト (>110 )
……では、必要な知識の選別はあなたに任せます。
( いつ、どんなものが役に立つかは分からない。念には念を入れ、錬金術の知識全てを聞き出しておくのが安全策ではある。しかし、彼の様子を見るに、それは容易なことではないのだろう。死神と違い、人間の一生はたかが数十年だ。成果報酬を手に入れるためにどれほどの時間が掛かるのかは見当もつかないが、全ての知識を語るために重要な部分を省略されても困る。提案を素直に聞き入れると、もう不要であると見て、出現させていた鎌を霧散させる。私の方が彼より先に消えてしまうことも無いとは言えないが、まあまず無いと思っていいだろう。彼がこちらの仕事をきちんと手伝ってくれさえすれば。死神は、仕事が存在理由だ。裏を返せば、仕事が出来なくなれば存在理由が無くなるということ。業績の芳しくない死神は、ある一定のラインを下回ると跡形もなく消えてしまう。それを〝死〟と呼ぶか否かは個人の価値観に依るが、私は特段それを悲しいことだとは思わない。出来の悪い者が淘汰されるのは当然のことだ。人間だって、そんな死神に自分の最期を任せたくはないだろう。「荒事に人間の力を借りるほど落ちぶれてはいませんよ」彼の忠告に微笑を返せば、手のひらの上に一枚の写真を取り出して差し出す )
対象者──今回はこの人物との食事の席のセッティングをお願いします。詰めの甘い私より、あなたの方が適任でしょう。
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