観測者 2021-09-18 20:02:12 |
通報 |
>ファウスト (>107 )
恐ろしいことを言わないでください。
( うんざりとした様子で、ゆるく首を振る。自身の身体を機械にすげ替えるなど、人間の考えることは全くもって理解不能だ。人間であることをやめてまで生に縋り付くなど、あまりにも美意識に欠けていて、理解しようという気さえ起こらない。しかし、仕事が絡んでくるとなれば話は別。死神は食事も睡眠も必要とせず、その一日のほとんどを仕事に費やす。業務の遂行のみが自身の存在理由であると自覚し、仕事に生きるよう本能に刻み込まれている存在だ。私は一等その性質が強いらしく、業績トップを取り続けてきたのもそこに起因するのだろう。つまり、最も死神らしい死神というわけだ。そんな私が彼に望むこと。言わずもがな、仕事の成果だ。「人間が機械の身体に魂を宿すようになって、こちらの仕事に支障が出ているんです」苦情と共にこちらの状況を手短に説明する。情報収集の手段だったはずが、いつの間にか交渉相手に成り上がっていた相手を見遣ると、口元には僅かな笑み。一貫した態度に、なかなかに食えない人間だ、と思う。石を仕舞った今なら最初の状態に持って行けるかとも考えたが、他にどんな物を潜ませているか分かったものではない。同じ轍を踏まないよう、今度は脅迫的でない、合理的な提案を試みて )
あなたが持っている錬金術に関する情報を全て開示してください──と、言いたいところですが、疑り深い……失礼、思慮深いあなたのことです。それは成果報酬で構いません。その代わりと言っては何ですが、私があなたの手伝いをする間、あなたにもこちらの仕事を手伝っていただいても?
トピック検索 |