観測者 2021-09-18 20:02:12 |
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>ファウスト (>103 )
……メリット?
( 相手からの問い掛けに、訝しげな声が転がり出る。アトリエにいとも簡単に侵入され、武器で脅され、そうでなくとも相手は人間より遥かに強い力を持った死神。誰がどう見ても力の差は歴然だ。目立った抵抗がないところを見るに、相手もそれは理解しているはず。にも関わらず、この男は、この状況でまだ自分が私と対等な立場にあると思っているのか。大した度胸だ、と口の端から笑みが漏れる。今までの私と彼の一切は、要約すれば〝命が惜しければ情報を渡せ〟というもの。死が怖くないのか、それとも、ただでは転ばないという意地か。そも、転んだ先が冥府では、そんな意地はくだらないと言う他ないが。目の前で再現される錬金術の神秘に顔を顰めつつ、注意深く相手の様子に目を配る。短絡的に直接情報を聞き出す判断を下したことに若干の後悔の念が過ぎるも、乗りかかった船だ。とりあえず話だけは聞くことに決める。しかし、無論〝命が助かる〟以外のメリットなどあるはずがないため、必然、質問に質問で返す形になって )
その〝メリット〟が、何ならあなたは情報を渡すに値すると?
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