27836 2021-09-01 21:49:39 |
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(それから数日。医師による渾身的な治療と、相手の生まれ持った生命力もあってか、命に別状がないと判断された相手は屋敷に運ばれ、今は自室のベッドに寝かされている。後は目覚めを待つだけ、とのことで、一先ずは安心したものの完全には不安を拭えなくて。流石に傷が痛むのか、毎朝恒例であった相手の脱衣癖はなりを潜め、あんなに呆れていたのに早くあの日常に戻りたいと切に願うようになっており。毎朝の習慣で、シャッと主の部屋のカーテンを引き、空気を入れ替えるため窓を少し開け。軟膏や薬の匂いが部屋に籠るのはどうにも苦手で、ここ最近は朝一で換気をするのが恒例となっていて。もちろん、主の体調に差し支えない程度に。)
おはようございます!
(相手が眠るベッドに向けて、いつも通りの明るい声で挨拶をし。背中の傷を保護するため、うつ伏せに寝かせられている相手は少し寝苦しそうで。無造作に跳ねた黒髪の下には、精悍な美しさを残しつつも、少しやつれた相手の顔が見え。)
今日はすごくいい天気になりそう。お洗濯日和だねー、ランドリーの子達が喜ぶかも。そういえば昨日ね、アプトン・食料雑貨店〈グローサーズ〉さんからお届けものがあったの。牛乳と、卵とバター。エッセル家の、レイ様の活動を陰ながら応援したいって。嬉しいよねぇ…ちゃんと支持してくれてる人もいるんだなって思うと、本当に……。あ、いただいたものでね、リクエスト通りシフォンケーキを作ったんだよ。一晩寝かせたから、しっとりしてるだろうなぁ。今日が食べ頃だよ!だから、
(明るい声で取り止めもない話をしながら、布団を剥がしそっと相手の肩に触れ。「はやくおきてよ」という言葉は震え、まともに発することはできなくて。ぽたり、とこぼれた雫が相手の頬に落ち、慌ててそれをすくい取り。相手の背中と手のひらの包帯を確認し、血が少し滲んでいたため取り替える必要がありそうだと判断して。「失礼しますね」と形式的に声をかけ、きつく絞った手ぬぐいで汗を拭いつつ、包帯を取り替え。広い背中に残った痛々しい傷は、きっと跡が残ってしまうだろう。)
…ごめんね。私がもっとしっかりしてたら、こんなことにならなかったのに。どうして庇っちゃうかなぁ……レイのことだから、咄嗟に体が動いたって言いそうだけど。…レイがいなくなったら私、どうしていいか分からないよ。ずっと、ずっと、レイのために生きるって、……許されるなら、一生側にいたいって思ってるんだよ。結婚だって…本当は、して欲しくないのに。
(相手が眠っているのをいいことに、つい本音を吐露してしまい。包帯を巻き終え、相手新しい寝巻きに袖を通させ、再び横たわらせ。)
こんなことになるなら、ちゃんと好きだって言えばよかった。
(相手がそうしてくれたように、艶やかな黒髪に指を差し込み、優しく梳いて。)
弟とか主としてだけじゃなくて、レイがレイだから、好きだって。誰よりも大切だって…ちゃんと伝えてたら、違ってたのかな。もう少し自分を大事にしてくれた…のかな。
(鼻の奥がツンと痛み、エプロンの袖を握る手が震え。)
レイが見つけてくれたあの日から、私の命も…心も、全部貴方に捧げるって決めたの。だから、お願い。もうこんな危ないこと…しないでよ。私のせいでレイがし、しんだら、後を追ってやるんだからね。
(浮かんだ涙を袖口で拭い、最後の科白は冗談まじりに呟き、相手の肩に布団をかけ直そうとし。)
(/遅くなってしまい、すみません…!レイ様がいつ目を覚ましても良さそうなところまでスキップさせていただきましたが…大丈夫でしたでしょうか。アトラリアの独白が聞こえていたかはお任せします!)
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