ただただ、絆されて/〆

(ぽたり、と絞られた雑巾から水滴が落ち、真下のバケツに波紋が広がった。敬愛する主の私室を見渡し、隅々まで磨き上げられていることに満悦の溜息をこぼす。予想外の事態が起こっていなければ、主はもうじき遠征から帰ってくるはずだ。怪我をしていないか、心労が溜まっていないか、食事や睡眠もちゃんとしていたか心配だが…遠い異国で、素敵なヒトに出会ったりしていないだろうか。その続きを考えてしまう前に、弾かれたように頭を振り、思考を中断させる。そのとき窓越しに微かな蹄音が聞こえ、待ちわびた彼の帰還が近いと悟った。逸る鼓動を深呼吸で落ち着かせ、玄関ホールへ。よく磨かれた階段の手すりで身だしなみをチェックし終えるのとほぼ同時に、扉が開かれる。帰宅の挨拶を告げる主の声に応えるように頭を下げ、歓喜で弾みそうになる声を必死に落ちつけつつ、外套を受け取るため腕を伸ばし)
お帰りなさいませ、レイ様！　無事なご帰還を心よりお待ちしておりました。長旅、お疲れ様です。

(/同じく、始まりの絡み文は苦手としているので、先に投げて頂いたことに感謝しています…！スッと入ってくる読みやすい文章で、これからのやり取りが楽しみになるロルをありがとうございます。
此度は想定外の長さになってしまって申し訳ありません…もう少し文字数を抑えられるよう、精進いたします。文体や表現方法に気になる点がございましたら、遠慮なくお申し付けください！)