ビギナーさん 2021-07-25 07:08:21 |
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>ロベリア・ロザリンド
(どうやら心配は杞憂だったようだ。尚も手を止めず此方を振り返った相手は、自らを卑下する言い方で怪我をしないのは当然だと笑って見せた。相変わらずの様子に小さく息を吐き口元を緩めれば「それでも良かった」と言って安堵する。戦場は何が起こるか分からない。少しの油断が命取りになる。いくら前衛では無いと言え寝首を掻かれる事もあるかもしれない。そんな中で怪我ひとつ負ってないのは幸運と言ってもいいだろう。それは自分にも言える事だ。その鮮やかな赤い瞳が自分の全身を品定めでもするかのように見てきてよくも無事に辿り着いたと言われると、正にそうであろうと苦笑する。専ら戦闘に全くと言っていいほど関わらない上に戦闘向きでは無く、後衛専門の自分が交戦している中を通り抜けて来たのだ。驚かれるのも無理はない。が、あの地獄絵図を思い出しては直ぐに表情を曇らせる。対照的に、あの光景を作り出した張本人は何が面白いのか笑っていた。)
「そうだね。生きてさえいれば……。でも…健康で元気で痛いところもなくて…そういう状態に近い方が本来の力をちゃんと発揮出来る。あなただってそうでしょ?だから…」
(確かに、まだ動かす事が出来るのであれば強制的に動かして少しでも戦力にする。厳しい戦争の世界では間違ってはいないだろうが、された側の事を考えるととてもじゃないが見るに耐えない。重傷ながらも鼓舞され操り人形のように戦おうとする彼等は、痛みのあまり意識を保つ事で精一杯のはず。中には殆ど保てていない者もいるだろう。そんな状態で戦っても直ぐにやられてしまい、今度こそ命を落としてしまう。助かったかもしれない命も救えなくなるし、効率も悪いのではないかと考えては、相手だって同じ事だろうと、健康を損なう相手の好きな嗜好品に目をやり持って来た救急箱を地面に置くと、言いながらピアノを弾いている相手にゆっくり近付いて真横に立ち相手の口元に手を伸ばしては咥えられている煙草を取り上げようとして)
「健康の為にも煙草はほどほどにね。」
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