☆ 2021-07-01 18:33:10 |
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( ハルカと連れ立ってポケモンセンターを出てから、新設されたばかりの空港の方へと歩を進めていく。その道すがら、横を駆け抜けて行った小さなトレーナーたちが「最初のジムバッジを手に入れたら、また勝負しようぜ」「次は負けないからな!」などと会話する声がすれ違いざまに聞こえてきて、どこかでポケモンバトルをしてきたところだろうかと予想する。彼らはきっとこれから何度も勝負を繰り返して、勝って負けて引き分けて、互いに切磋琢磨しながら成長していくんだろう。自分も彼らと同じ駆け出しの頃、幸運にもそういう相手に恵まれていた。──一度目は博士から貰ったばかりのキモリと一緒に、103番道路で初めてのバトル。二度目はジムバッジを2つ手に入れて一人旅にも慣れてきた頃、110番道路で。三度目は天気研究所の騒動の後に、そして四度目は旅の終盤、ミナモシティを訪れた時だったか。あの頃には既に、大きな事件に深く関わりすぎて後へ引き返すことが出来なくなっていたから、勝負の後で一度ミシロへ帰るのだと笑って去って行った彼女をなんとなく遠くに感じてしまって、恐らくこれが最後の勝負になるんだろうとどこか寂しさを覚えたものだった。だから尚更、そんな予想を覆して、リーグ優勝後に103番道路で交えた一戦は自身の中で特別なものとなっている。そして、それが本当の最後の勝負となり、こうしていつの間にか3年もの年月が経過してしまった。多分この先もずっと、あの頃の様にライバルとして正面からポバトルをすることはないんだろうな──そんなふうにぼんやりと考えながら歩いていると、隣でハルカが何か気になるものを発見したらしく、少しだけ俯きかけていた顔を上げてその視線の先を追うと… )
……本当だ、それも結構ちゃんとしてるやつ。前はあんなの無かったのにな。
( 彼女が見つけのはどうやらポケモンバトル用のバトルフィールドで、リーグ規定の公式戦で使用されるコートと同等程度の広さはあるようだ。見たところ飛行場の滑走路脇の余ったスペースを活用して作られたものらしい。あの少年たちも、もしかするとつい先程までここでバトルをしていたのかもしれない。自分が旅をしていた頃にも同じものがあったらよかったのに。今の世代のトレーナーたちを少し羨ましく感じながらも、歩を止めずそのまま前を通り過ぎようとすると、ハルカから思いがけない提案をが飛んできて、耳を疑いつつ顔をそちらへ向け )
………っ、ハルカ……。
( 驚きのあまり、きょとんとした表情で固まったまま数秒。しかし最初にバトルに誘ってくれた時と変わらない彼女のその無邪気な笑顔を見ているうちに、勝手に諦めてしまっていた先程までの自分がどうしようもなく馬鹿馬鹿しく思えてきて。胸の奥からきゅーっと込み上げる嬉しさを噛み締めたのち、一つ頷いてから真っ直ぐに向き合い )
──……ああ。バトルしようハルカ!
オレ、全部教えるからさ、ハルカも全力でぶつけてきてくれとかよ。カロスでどんなにポケモンのことをたくさん知って、そして強くなったのか、この勝負で教えてくれ。
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