炎の灯に照らされて、 

 炎の灯に照らされて、 

下級妖怪  2021-05-06 19:39:12 
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とあるトピより。今までのやり取りをまとめたものを。




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  • No.12 by 下級妖怪  2021-05-06 20:01:40 



 困った奴を助けるのは当然のこと、そう言う環を見つめ「そう、ですよね……」と相槌を打った。思わず顔を俯かせて考え込んでしまう。
 この世界の人は、自分を食べようと、捕まえようとする。
環とは別の、考え方を持つ者達だ。
 見上げた空は自分の居た世界の空と同じようなはずなのに、吸い込まれるように感じ、恐怖が自分へと襲い掛かってくるように思える。

 _______早く帰りたい。
なのにも、帰れない。

 このもどかしさと焦燥が胸に渦巻いて気持ちが悪い。
グッと胸倉を抑えた。

 隣にいる環はとても優しくて自分に食べようともせずこうやって助けてくれている。第一、しゃがみ込んでいた自分に一番最初に声を掛けてくれた。
多分、不思議な人。安心出来る人なんだと思う。
それでも、この不安と心配はなくならない。小さな芽がある。
まるで道端に咲く雑草のように、いつ抜かれるか怖くて堪らない。
 冷たく過ぎ去る風が帰ることは不可能であろう、と言っているかのように頬を、髪を撫でていく。
両手を握り締め、唇を軽く噛んだ。


 「この道をまっすぐ行けば私の家です。足場が悪いので、躓かないよう気をつけてくださいね」
足元だけを見て環に寄り添うかのように歩いていたら声を掛けられる。
 ハッと目を見開き、顔を上げれば環が更に暗い道を指して言うのだ。
呑み込まれるような黒に固唾が込み上がってくる。
少しだけ、ほんの少しだけぷるぷると震える手を隠すように押さえ微笑んで見せた。
「あ、はい……忠告ありがとうございます、ね」 
自分の返答を聞いて再び歩き出す環の後を一生懸命に、はぐれないように生まれたての雛鳥のようについていって。


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