ビギナーさん 2021-04-29 13:28:02 |
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>由美
確か…、山代啓◯、だったな。一緒に入った者も同期も居ない。あと…、山代は本名じゃないな。
本名を名乗っていない奴はここには五万といるが、…最近こっちに移ってきたお前だけ少々経歴が不明瞭だ。
(由美が廊下の外へと出ると扉が閉まり、読んでいた書面を持つ片手を下げて。雑兵とて名前や顔を一人一人一致させて記憶しているのかソファに座したまま彼へと話し出し、手元の書面に視線を落とすと照明に浮き上がる活字を眺め『本名、“寺田宣◯”、天保10年1839年生まれ、39歳、独り身、―…府警所属、藤田警部補の密偵か。署内でお前の噂はあまり褒められたもんじゃないな…。飲酒の暴動騒ぎ、婦女暴行紛いに器物破損、始末書の数々。斎藤(藤田)も手を焼きそうだな。あの手厳しい方治の目を掻い潜ってよく紛れ込めたもんだ…、そこだけは褒めてやるよ。』と、持っていた資料を相手の前へと放ると、どうやら仕事の資料ではなく彼の素性が載った書類であり。男がそれを拾い上げる動作を見ながらソファからゆっくりと立ち上がったのかコツリと靴先を目の前で止めると佇んで。足元から這う寺田の視線と目が合うなり少し笑み)
帰って斎藤に伝えておけ。…政府の犬共は身近な奴から口を割らせるような、おまけに婦女暴行と最低な駄犬みたいなのしか雇えないのか、とな。
まあ、お前が無事に署へ帰れたらの話だが…。
(そこまで言うと転げるように部屋を出ていく密偵の男の背中を見送り、外に居る由美が入り口でぶつかっていないか気になったのかその場で佇みながら己の腰に片手を置きつつ、『由美、話終わったぞ。』と、廊下へと声を掛けて)
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