どこかの兄弟 2021-04-20 18:36:39 |
通報 |
>70/バル
▼外は曇りだしてきている
(浴びせられたことのない褒め言葉を上手く呑み込めず「眩しい……?バルにはそんな風に見えるの?」と復唱して。確かにこの夢の中では自分はプリンセス、ならばそれ相応に容姿まで変化しているのだろうかと疑い始める。視線を落として見ても身体に馴染んだエプロンドレスは普段通りで、外の探検が終わり次第鏡で顔でも見てみよう、自国の王妃のような見目麗しい姿になっているかもしれないと心に決めて。偉そうに踏ん反り返って従者を顎で使うようなプリンセスにはなりたくなかったが、下手に出る事を当の本人が望んでいるならば致し方ないのだろうか、と桃色の瞳が迷いで揺らぐ。しかしそれも一瞬で、すぐに最善策を思い付いたとばかりに表情を明るくし。何も悪逆非道の女王様を演じる必要はない、ちょっとばかり、否、いつも通り我が儘な娘になれば良いのだと独り合点を。外に行きたいという最初の我が儘ないし命令はあっさりと叶えられそうだ、ならば次は何をお願いしようと考えながらチャペルの扉に手を掛けた。意気揚々と一歩踏み出せば、目に飛び込んで来たチャペルを取り囲む家々をキョロキョロと見上げる。生憎気持ちの良い晴天とは行かなかったが、この世界で初めて空を見た開放感にわあ、と心を躍らせ) お家がたっくさん___ねえねえ、バル!この中にバルの家もあるの?
トピック検索 |