吸血鬼 2021-03-16 10:45:12 |
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(理性を失ってはいけないと必死に自分に言い聞かせながら相手の肩に顔を埋め、強い渇きに意識を向けないように衝動に耐える時間は実際よりもとても長く感じられるもので。これまで通り本能のままに血を口にする事が出来れば楽なのは分かっているが、その代償に相手を失う事になると思えば耐える以外に選択肢は無かった。 やがて扉の閉まる音がして家に戻ってきたのだと分かる。相手の優しい声に促され漸く顔を上げ、首元を緩めながら血を吸って良いと言葉をかけてくれる相手を前にこれ以上堪えることは出来ず、相手の後頭部に手を添えて引き寄せるとその首筋に牙を突き立てて。相手を気遣う事が出来ず、痛かっただろうかと少し考えるが溢れ出した血が喉を通ると強い渇きが癒されるようで、直ぐにそちらに夢中になっていて。)
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