百鬼夜行絵巻（シナリオ選択制／物語性重視／中ロル～）

>>76,>>74 菊二


( ──海を越え、その先にあると云う大国に伝わる説話。猫ハ、三年モ生キレバ、人ヲ化カスヨウニナル。化ケル前ノ猫ハ、ソノ瞳ヲ通シ、月カラ精気ヲ得ル。

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……草木も眠る丑三つ時、何処までも深く暗い夜空には、まるで漆黒の天に空いた光の穴のように大きな満月が輝いていて。その影を淡く反射し、白壁に紺の瓦屋根が軒先を揃えた、見目も美しき塀が並び行く。厳かな屋敷門には今の時分、何人足りとも通さぬとばかりに如何にも重厚な錠前が落ちているが、本来は其処をくぐるとすぐの場に中庭が広がり、その向こうに御殿が控えていて。

尽き出した縁側には、細い紐に繋がられ、一匹の猫がおり。三年、いや十年以上は生きているであろう風格。その猫は、暫し天涯に浮かぶ月を眺めていたが、やがて、中庭の随所に植えられた樹木の陰から、ぽつ、ぽつ、と火の粉が舞い始めると、そちらに視線をやって。

見ている内に火の粉は大きくなり、幾つかが纏まっては青白い火の玉となって、静かに猫に近付き。暗がりでは丸くなっていた瞳孔が、至近距離に迫った光により、線のように細くなると、次の刹那には、猫を繋いでいた紐が焼き切られ。

……その様子を見届けた猫は、切れた紐と宙に止まった火の玉を交互に見た後、縁側を下りて中庭に降り立ち。一度だけ振り向き、いよいよきちんと紐が切れていることを実感すれば、ニッと笑って高く飛び、そのまま空中を駆けるように、淡い月光のみでは照らしきれない、夜の闇の中へと消えて行って)


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(それからどれくらい時間が経っただろうか。雲も少なく青い空が映える都の朝。道を行き交う人の数は、昼間ほど多くないが、小鳥たちにも負けないであろう早起きの町民か、或いはたまたま平常より早めに目を覚ました者が天気に誘われ、屋外に足を踏み出したのか、疎らながらそれなりの人影はあって)




(/ お待たせ致しました。初回から長文で恐れ入りますが、この先はもう少しコンパクトになるかと思います。>>64にてお話させて頂きました通り、任意の形で出歩きロルをお返し頂けますと幸甚です。やりにくい等あれば何なりとお伝え下さい。
後、一点追加で細かなところを確認させて欲しいのですが、菊二さんが御在住の『都』は江戸っぽいイメージで宜しいでしょうか??若しくは京都か大阪か……ご回答を頂けますと嬉しいです)