めるてぃ。 2021-02-16 00:06:13 |
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導入/
【自宅】
( 低血圧だからか、朝は昼間や夜よりも機嫌が悪い自覚はある。ただ最近目覚ましが変わったからか以前よりは目覚めが良くなったような、そんな気がする。__バダジェフスカの、乙女の祈り。今朝の選曲は中々悪くない、そんな風に若干上から目線で感じながら上半身を起こす。ベッドの傍のチェストの上に置いてある黒縁の眼鏡を掛け、軽く身嗜みを整えて、それから華やかな姉の趣味全開の白いレースのカーテンをそっと開ける。家の近くの公園から飛んできたのだろうか、桜の花弁が窓の外で舞い踊るのを暫く、と言っても十数秒だが眺めていた。
取り敢えず制服のシャツに袖を通し、ブレザーは鞄と共に乱雑に持って自室から先ずは足を踏み出して。階段を降りようとして、…少しだけ迷って隣の部屋の扉を2回ノックする。演奏が止まらないのは"入って来て良い"の合図。)
「…おはよ、姉ちゃん。今から朝飯作るぞ、ピアノばっか弾いてねーで支度しとけ」
( 演奏に負けないくらいの大きな声で姉に呼び掛けた彼はピアノの部屋を後にする、彼女の姿を見るに既に身支度は整っていて、きっと自分の朝飯待ちなのだろうというのは安易に予想が付いた。それからの30分は流れるように過ぎて、朝ご飯を平らげ、弁当を作り終えた彼は姉と共に通学路を歩み始めた。)
【教室】
( 姉と駄弁る通学路は1人で歩く通学路よりも短く感じて、下駄箱で靴を履き替えてから彼女に別れを告げて階段を駆け上がる。向かうのは2年生の教室、新入生が登校を始めてはや3日。新しい面々の揃った教室は1年の頃よりも色鮮やかに感じる、それは"友情"が既に形成されているから、であろう。がらり、と教室の扉を開ければ度々言葉を交わすクラスメイトの姿があって。軽く声を掛けてから彼は廊下から三列目の前から四番目の席に腰掛けた。)
「ん、ふわぁ……ねっむ、…早く窓際の席になんねぇかな」
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