匿名さん 2021-02-07 17:15:29 ID:15337758d |
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(ある森の木漏れ日が注ぐ小さな広場、そこに生えた貫禄のある一本の木の根本には、掘り返された後があり、中途半端に地面から姿を覗かせた、古びた空き缶が横たわる。中に入っていた物は持ち去られたようで、しかし、真新しい一通の封筒と小さな箱が入れられていた)
約束通り、ここに来たよ。懐かしいね。
君はもう神様のところに行ってしまったけれど、ここに来ると、すぐ近くにでも君がいるような気がしてしまうから不思議だね。
ここには来たけれど、もう一つの約束は果たせなかった。君が僕を置いてしまったからだ。僕の方は、今日の為にこれまでちゃんと一生懸命に働いて、指輪の一つぐらい買えるようになったのにね。
ねぇ、もう一度好きだと言いたかったな。あの時、渡せたのは花冠だったけれど、今度は指輪を贈りたかったよ。あの日照れて「大人になったら本当に」と言ってくれた君は、指輪を渡したらどういう顔を見せてくれたんだろう。
もう一度、君に会えたらな。もう一度、君に恋がしたいよ。そしたら次は、お互い歳を取るまで一緒にいよう。
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