一見さん 2021-02-07 07:28:49 |
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(まるで曲調が変わるように喋り始めた夏原を、家頭は青玉色の目を見開いて見つめる。恐怖と感興が雑じっていたが、話を聞けば彼の心境は好奇心へと変わり)
「鵺」か...…。以前書物で挿絵を見かけたことならあります。頭部が猿、胴体が狸、四肢が虎、尾っぽが蛇を持つ妖怪ですね?歴史書で当時の様子が描かれていると聞きますが......なるほど、災厄の象徴でしたか。カタストロフィの象徴と言えば、ナックラヴィーを思い出しますね。鵺の啼く夜は用心しなければなりませんな。
(楽しそうに語る夏原を見て、話の腰を折るのは躊躇われると困っていたのを、阿笠が助け舟を出してくれたので礼を言い)
ミズ・アガサ、ありがとう。だが僕は、彼から興味深い話が聞けて内心幸せだ。
妖怪は僕が追い求めている「事件」と似ているところも多い。身近にこっそりと潜み、実体を持たず、興味がそそられるもの……。注意深く見なければ、見逃してしまう存在であり、それを突き止めるのが我々の仕事だ。
(話し出したらキリがないと判断したので、家頭は「さて」と自身を落ち着かせるように、両手を合わせる仕草をし)
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