語り部 2021-02-01 00:27:15 |
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>ソフィア
森もダメ──ソフィア、それならボクがキミのところに遊びに行くよ。だからいい子にしておいで
(寂しそうに友達がいないのだと言う少女を見下ろしながら、友達なんてものがいない己は──これがどういう感情なのか分からないけれど、気まぐれに優しくしたくなったのかもしれない。日が暮れた後なら、少しくらいなら人間の真似事も出来るに違いないなんて希望に縋って願望にも似た約束を口にして。)
>レヴィ
(視界の中で銀色の髪が揺れた、整った口元から鋭い牙が覗いて目の前の食糧に深く深く──それは泡沫の夢から覚めたような感覚だ。シャボンの泡が弾けるように目の前に色彩が戻って、視界のピントが合った。真っ赤に染まった手と足と体と目の前のひしゃげた人間の顔を黒い目が順に追って引き攣った悲鳴が喉から漏れる。キョウダイの言った言葉が呪いのように頭に焼き付いて離れない。嘘だ、嘘、これは嘘、夢、夢だ、夢に違いない──ボクがこんな風に人間を食べるなんて有り得ない、だってこの人はボクと“半分同じなのに”! せり上がってきた吐き気に耐えられなくてその場に背を丸めて蹲り、地面に飲み込んだばかりの赤を吐き出して噎せる。そこかしこから鉄の匂いがして気持ちが悪い。耳鳴りがして苦しい。ヒューヒューと喉を鳴らして呼吸をして、ごぽっと音を出して血を口から吐き出して、目の前で冷たくなっていく人間に縋るようにして何度も謝罪の言葉を口にして、ボクは──ボクは、キョウダイたちと同じ吸血鬼なんかになりたくない)
ごめ、なさ──上手く飲めなくて、ごめん、なさ、ボク、キミを食べたくない、ごめん、傷付けて、上手に飲めな──ごめん、ごめ、
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