匿名さん 2021-01-30 01:29:37 |
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「大正」…。晩春暖かい七つ下がりの雨の日に人と妖狐が契りを交わした。ときに妖狐は種族を超えて子を成すこともある。ある者は強い血を求めて獣の類と…。ある者は人に心を寄せ…。
人と妖狐の番いが子を成すためには膨大な妖力を要し、妖狐が十年の眠りにつかなければならない。そして、また一つの番いが十年の別れを迎える…。
「浮気などせず待っておるのだぞ。」
『そなたこそ、寝過ごすでないぞ。』
別れの抱擁を終え、妖狐は長い長い眠りについた。
人間はいずれ来る再会の日を夢見て幾星霜を過ごした。しかし、2人が再会することは叶わなかった。別れた後、人間がすぐに徴兵され、戦死してしまったのである。そして百数十年後…。時は流れ、時代は「令和」。1人の男と妖狐が出会う。
『え、だ、誰…?』
「忘れたのか?わらわじゃ!〇〇じゃ!お前様のことは匂いでわかったぞ。」
『あの…人違いじゃ…。』
「何を言うておる、人違いなどではない。それにしても「10年」経って目を覚ましてみれば現世も変わったのぅ。しかしお前様よ。何故起こしにこなんだ?」
廻り、狂ってしまった人と妖狐の運命。これは呪いか。それとも罰か…。
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