妻鹿山 琥珀 2021-01-14 21:23:07 |
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(てっきりベタベタするなとツッコまれると思い覚悟をしていたが、まさか彼が自分と同じで酔うとキス魔になるのだとは夢にも思わず。寂しい、というクールな彼に些か不似合いかと思われた感情も認められてしまえば意外そうに目をぱちくりさせて。そのまま顎を掬われかち合う視線に「 え、せんせ…? 」少し酒に灼けて掠れた声は柔らかい唇によって塞がれ「 っ、ン――?! 」驚くほどすんなりとキスを受け入れたのは本能で、その刹那脳裏にフラッシュバックしたのは仲睦まじい夫婦の記憶。初めてのデート、初めての喧嘩、結婚式、ハネムーンでの初夜――目がチカチカするほど幸福に満ちた思い出から現実に引き戻された時には前世の記憶が全て戻っており、ゆっくりと唇を放して瞠目しながら至近距離で彼の顔を見つめ「 和久…? 」無意識に零れ落ちたのは、現世では一度たりとも呼んだことのない下の名前。信じられないほど口に馴染むその響きに表情は徐々に困惑に満たされて)え、今の何…、俺ってせんせーの奥さんだったの…?!
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