櫛乃 2021-01-05 17:54:27 |
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帰路に着いた貴方は、道中にひとりの青年が倒れているのを見つけ、急いで介抱してやります。どうやら寒さにやられてしまったのでしょう、質素ながらも暖かな食事と囲炉裏の灯をくれてやると青年は生気を取り戻し、自身の身の上を語りました。
曰く、父と喧嘩をして追い出されてしまった、長いこと彷徨ったのだが 行き場がなく路頭に迷っていた、と。
見るに彼の纏っている真紅の箭袖は極上のもので、本人の語彙も非凡であった為に どこかの貴族の御令息が戯びに来たのであろうと想像させました。
しかし、そんな箱入りの貴族公子が家出したとなれば、道中 さぞかし辛酸を舐めたに違いない────青年の心緒を慮り、優しい貴方は ひとつの提案を零します。
〝 あの中元節も近い、拠点が見つかるまで 此の家に暮らしてはどうか 〟と。
斯くして、貴方と青年の 世にも奇妙な御伽噺が幕を開けたのです。
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