真夜中のピエロさん 2020-12-28 18:46:19 |
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【狙撃銃のスコープを覗き込めば、小虫程度にしか見えなかった狙撃手の姿が朧気ながら人として捉えられる様になった。
爆風すらも利用して跳び回るその姿に犬歯を剥き出しにして笑い、銃口をこちらに向けるのを確認して戦車上、ステップを踏むように後退する。
腹を狙った一射は逸れて脇腹を裂いた、頬や肩付近とは比にならぬ激痛が眼を見開かせる、されどこれもまだ致命には至らない。
致命でさえ無ければ十二分反撃は可能である】
「ぐっ……ハッハハ、こっち見たナ、狙撃手……良いモン食らわせてやるよ」
【口中の血を地面に吐きつけた。
正面からの狙撃勝負、セヴンスがそれを誘う性格だろうか。
結論を言ってしまえば「否」だ、彼女は決して、正当の戦術や真剣勝負に拘るような存在ではない。
己の欲求の解消こそが全て、今はただ、己を利用し暗殺を成功させた狙撃手に「一泡吹かせてやろう」という意地の悪さしか無い】
「良い眼してンなァ、「オレの口の動き」も見えてんだろ、読唇術は使えるか?」
【故に――「もう一つの手」とは、狙撃のことでは無い】
「吠え面かきやがれ」
【砲撃、これまでと同様に砲弾が狙撃手のいるビルへと。
ただ一点違うのは「弾種」、これまで一貫して用いていた通常弾とは違う。
セヴンスが組み立てたもう一つの手は、相手が正面を向いて初めて完全に効力を発揮する、ビルには衝突せず近接信管により起爆する「発光弾」である】
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