名無しさん 2020-10-21 17:10:45 |
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大抵の場合、小鳥の囀りは求愛を意味するって知ってるか?私が君に対してべらべらと捲し立てるのも、つまりはそういうことさ。…禁断の果実を?それは言えてるな、もし君が最初の人類だったなら話は別だが。この私と知恵の実を二つに分けようって誘惑するに違いない。…ふ、ふふ、くるし、アンドルー、苦しいぞ。
( 元より多弁なことも、彼の前ではより一層口達者になることも自覚している。良き聞き手たる恋人を前にしては湯水の如く溢れる言葉に口が追い付かず、舌を回るに任せているうち日が暮れてしまうことも屡々。以前より熱く語っていた発明への意欲、さらに愛の言葉で嵩増しされた口数は、好奇心と愛情を以て耳を傾けられなければ喧しいと一蹴されていたかも知れない。眼前の彼こそが最初の人類だったのなら、この能弁を用いて楽園からの逃避行を図っていただろう。寸分の隙も無く抱き留められる幸福に浸り、圧迫感を伝えつつも満更でもない様子で抱き締め返し )
───ン、ふ、…アン、ドルー。好きだ、きみを…愛してる。……ッ、はぁ。良くないな、歯止めが利かなくなる。
( 細い銀糸の柔らかさを掌で堪能しながら、体温を分け与えられたもう一方の手は背後へ回して腰を抱く。あまたの言葉を尽くしたとして、この胸中を言語化することは不可能だ。故にご容赦願いたい。リップ音のあわいを縫って囁く愛が、使い古された陳腐な言葉にしか変換されないことを。うっとりとくちびるの柔らかさを味わいながら背筋をなぞり、白い睫毛の内側に隠された薄紅色を盗み見る。態々確認するまでもない、溶けて潤んだ柘榴は目に毒だ。理性が焦げ付く前に今一度瞼を硬く閉じ、噛み付くようなキスを最後に漸く顔を離して。ぽつぽつと灯り始めた照明が恋人と己とを照らすまであと少し、柄にも無く熱に浮かされた事実を悟られまいと深呼吸 )
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