ジャレッド 2020-09-24 21:20:38 |
通報 |
(神の使徒として抱いてはならない慕情はいくら吐露しても薄まる事は無く、むしろその熱は乗算されてゆくばかり。これ以上の懺悔は時間の無駄、そう判断して席を立ち、夜更けゆえなるべく物音を立てないよう丁寧に懺悔室を退出した時、薄暗いホールの中にて人の気配とかすかな声を傍受して「 本日の御祈りの時間は終わりましたよ。もう獣が動く時間ですから、今夜は教会へ泊っておゆきなさい 」責めるでも咎めるでもない穏やかで父性溢れる声にて慈悲を紡ぎながら気配の方へ歩み寄り、そこで目にした姿に思わず反射的に僅かながら身動いで。思いがけないタイミングで想い人と二人きりになれば自ずと鼓動は早まり、しかしそれを悟られないよう平常運転の微笑みを浮かべて「 ジュリアでしたか…こんな夜更けまで熱心ですね。私も寝付けず用を済ませていた所だったのです 」彼女にだけはこの穢れた欲情を知られるわけにはいかず、 神父がここにいる不自然さを問われる前に先手を打ち「 今夜は冷えますね。寝る前に温かい紅茶でも飲みましょうか 」石造りの教会は底冷えするだろう。女性は身体を冷やしてはいけないと言うし、本音を言えばもう少し彼女を独占したい。そんな思惑の末お誘いをしてみようか)
トピック検索 |