△ 2020-09-24 18:42:18 |
通報 |
ミ――ッ?!
(キィ、キィと中途半端な開閉を繰り返す扉の隙間から大好きな声に名を呼ばれた気がして、思わず背筋がしゃんと伸びる。自分が犬の獣人であったなら耳もぴんと立ち尻尾をふわりと揺らしたかもしれない。彼女が心配している、たったそれだけの事に全神経を根こそぎ奪われて呼び掛けに応えようとその名を呼ぼうとした瞬間、もはや意識の外だった紅い彼女に腕を引っ張られ体勢を崩し、彼女を横たえたベッドに馬乗りになられるような形で組み敷かれてしまい。思わず舌打ちをして「 てめぇッ、いい加減に――! 」額に青筋を浮かべて堪えきれなくなった怒りをぶつけようとした瞬間、主の登場にそちらへ首を回して。怒りに歪む表情のまま、この一連の騒ぎをきっと聴いていたであろう主に向けて口許だけいびつに笑いを描いて「 …だってよ、ご主人サマ。どーする?俺の血をこいつに恵んでやるか? 」己は彼女の使用人、ならば命令に従うのが道理。使用人の血を吸う権利も、他に吸わせてやる権利も偏に彼女の手中にあると理解しており、尚且つ彼女が自分を譲るはずはないと自惚れた信頼に賭けて獰猛な笑みを保ち)
トピック検索 |