宵闇の男 2020-09-10 22:11:01 |
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(爪を失い剥き出しとなった小指は嘸かし激痛な事だろう、躾の内では地味な方ではあるが気に入っている方だ。純白を染め上げる紅は実に美しく優越感に浸らせてくれる十分な要素と成るだろう。塞ぎ込まれた喉の奥で止まる悲鳴による振動を舌先で感じながら、グリーンアイから零れ落ちる滴の行方を眺める。彼女は己よりも一回り年上で、外では患者を相手にする愛嬌があり優秀なカウンセラー、誰も悲痛に嘆く事になるとは思わないだろう。堪らない感覚、まるで壊れ物を扱うかの様にミミズ腫れを起こした頬を指先でなぞり。唇に柔らかな感触を受け、目線を下へと落とす。最悪な状況下において此方を求める様な行為に多少の驚きはあるもののストックホルム症候群の様な感情を抱かれた事は過去に幾度とある。さながら彼女も同様に過度なストレス下における一時的なものかもしれない、まあそれも今は愛する彼女から受けるものは何一つとして悪く無いのだが。受け応える様に熱く濡れた唇を貪り、豊潤な下唇を甘噛みしては柔らかく己の唇を割れ目に押し当て、幾度と無く繰り返しながら角度を変えて行く。同時にナイフを薬指の爪の間に移動させ、沈黙のまま残酷な二度目がある事を知らせた。当事者というのに唇は離さずまるで慰めるかの様に優しく接吻を贈りながらまた一枚爪を引き剥がし、今度は根元まで一瞬にして肉から裂けて何処かへと爪は跳ね落ちて行った。そこで漸く唇を離してやり、彼女の涙を人差し指で掬い取りながら実に愛おしそうに眺めて)
___僕は苦痛と快感は紙一重だと思う。此れに気付くには君一人じゃ無理だろうね、だから僕が何度も何度も何度も君に教えてあげる。そして君はいつか気付くんだ、快感に逆らう事は出来無いという事、僕に逆らう事も出来無いという事を。
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