宵闇の男 2020-09-10 22:11:01 |
通報 |
ならAlain、君の印象に深く残った名のまま呼べば良いさ。______随分と怖いもの知らずなお姫様だね、何も知らない方が幸せだというのに。
(彼女の指先まで到達したナイフは一旦その場で停止させ、下から受ける視線へと瞳を返した。漸く、らしい顔付きになったかと思えば唇から発せられた言葉は二転三転も想定していたものとは異なり反射的に犬の様小首を傾げる。経験則ばかりの無難な世界に染まらぬ好奇心を持つ事は非常に良い事だ、もしかすれば己と似て非なる感覚を彼女持ち合わせているのかもしれない。とは言え殺戮の舞台劇場は未だ序曲に過ぎず、期待の返答は曖昧な回答で括らせる。代わりに彼女が今後どの様な生活を強いられるのかを披露してやろうとこれまで停止していたナイフでゆっくりと細い指先をなぞり、第三関節、第二関節へと辿って行く。心配しないで欲しい、指を切り落とすつもりはない、ただ_______指の爪を剥ぐのだ。積りに積もった底知れぬ貪欲な感情が脳内を支配し、誰にも咎める事の出来ないこの地下で己は遂に飢えを満たす時が来た。薬剤の効果と肉体差のある男に覆い被さられる体勢により無防備に剥き出しとなった小指の爪の間にナイフを滑り込ませ、間髪入れずに爪の中間部分までを引き裂いた。音はほぼ無音に違いが一瞬だけ爪から引千切れる肉の音が走る。嗚呼、この衝動はきっと被害者とナイフを握る己にしか分かるまい。剥がれかけた状態で終いにする筈も無く、追い討ちをかける様にして肉と爪によってナイフが挟まった部分を支点に、ナイスを持つ自らの手の甲に拳を振り落として支点に強い衝撃を与え、てこの原理で爪の根本から完全に肉から切り離し。飛び上がった爪は何処かへと落ちて行き、その様子を一部始終見ていた己の口からは自然と吐息が溢れ、そのまま悲鳴が上がりそうな唇を自らの唇で塞ぎ込んで)
トピック検索 |