宵闇の男 2020-09-10 22:11:01 |
通報 |
………どうでも良い、好きな様に呼べば良いじゃないか。…まさか顔も知らなかった男に同情するの?
(最悪な状況下でも亡き者を慈しむ純粋故の憐憫の情に苛立ちを覚え、僅かに片眉を動かし眉間に皺を寄せながら至近距離のグリーンアイに刺のある視線を送る。たかが名前の一つ、何を気遣おうというのか。想定していた表情よりもずっと彼女には余裕が見られた、恐怖を目の当たりにして怖気付いた様にも感じられ無い。その身を守る防衛本能なのだろうか。事態を呑み込む以前に己を知ろうとする姿勢に益々調子を狂わせられ、非常に胸糞の悪い感覚が腹底に生まれた。怪訝な面持ちのまま眉間の皺を深めて行き、頬に触れていた指先を曲げて艶やかな皮膚を瞬く間も無い内に爪で引っ掻き。軽めのミミズ腫れの様な赤い縦線が真っ白な頬に浮かび上がるのを食い入るの様にじっと眺め、少しは怯えた顔を晒さないかと瞳を一瞥する。絶叫に耳を傾けるのも実に心地良いがじっくりと地獄を味合わせるのもまた甘美、彼女には後者をと密かに選択を。____世に生まれ堕ちた際に授かった名など忘却の彼方に消え失せた、人格も同様に。理解しようとするのは自分が置かれた状況だけで良い、そう言い聞かせる様に傷付けた頬を撫でながら再び彼女の小さく柔らかな耳元に唇を寄せ「難しい事を考えるのはやめよう…折角だから僕と大人の遊びをしようよ、キャロル。」子供の好奇心に乗せられた声色で静かに囁いた。その刹那、彼女の細く直ぐにでも折れてしまいそうな首元に此れまで撫で付けていた手で鷲掴みベッドへと強引に押し倒し、懐から愛用のフォールディングナイフを取り出す。眠剤により中枢神経を抑制された身体は反応まで鈍る事だろう、そのナイフを張の良い上腕に突き立てれば間違えて傷を付けてしまわぬよう慎重に指先まで伝い。覆い被さる形で再び前髪が瞳を隠すが、揺れる前髪から覗ける金色は確かに狂気じみた欲情したハイエナの様な視線となっており、指先まで伝い終えた刃は彼女の小指、爪と肉の間に滑り込み。逃げられぬ様しっかりと親指で指の根本を押さえつけながら、ナイフに力を入れて)
トピック検索 |