執事 2020-07-30 19:43:59 |
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(店内へ入るとそこは圧巻の品揃え。アクセサリーや筆記具を眺めつつプレゼントはどれにしようかと思考を巡らせていると、彼の呟きが耳に飛び込んでくる。自然と視線は時計の置かれている場所へと移動された。そこには置き時計、掛け時計、腕時計と多種多様な時計達が一定のリズムで時を刻んでおり、どれも劣らぬ優秀品。そっと値段を確認すると、流石はアンティーク。一般的な時計の何倍もするであろう数字が書かれており、思わず表情を曇らせる。お金を貯めていたとはいえ、今の自分には到底届かない値段であった。残念そうに視線を落とすと、その視線の先には懐中時計の並べられたガラスケースが。ふらりと近づいてデザインにも目を通す。安定の細かな装飾と、他の商品に比べてリーズナブルな値段。これに決めた、こっそりと此処の店主を呼びつけ、その商品を指差して会話を交わす。彼は気付いているだろうか、自分が今何を買っているのか──。支払いを終え、ラッピングされたそれを丁寧にポケットへ仕舞うと、商品を眺めていた彼の背へ声を掛け)
もう用は済んだ。帰るぞ、ヴィラ。
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