ストーリーテラー 2020-07-15 23:39:22 |
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>>リープ
(彼女の疑わぬ言葉が心に突き刺さる。自分の首をその純粋無垢な細い手で締められたような気がした。なにかを熟考するように虚空を見つめる鮮やかな金色に気付いて、なにかよからぬことを考えさせてしまっていると思い至った。強気な彼女がすんなりと自分の忠告を聞いてくれるなどと、そんなことを思うほど新米ではない。しかし彼女は、強気なくせ信じ込みやすいたちだともう知っている。だからこそ、彼女を縛り付けておきたいがために無駄な忠告をするのだ。手の届くところに置いて守ってやるために。……守ってやる、ために。触れられないと知りながら、その肩に手を伸ばすと、彼女がふと顔を上げた。形の良い唇から漏れる愛おしい言い訳を聞いて、わざとらしく肩を竦める。扉を押して部屋から出ようとする彼女を、閉じ込めておこうかと一瞬逡巡したが、煌めくその金に絆されて扉を支えて彼女を促し)
「それは大変申し訳ありません。もう少し早くお迎えに上がるように致します。……では、一緒に参りましょうか。お待たせしたお詫びです、今日くらいは何をなさっても、少しくらいは目を瞑りましょう」
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