とある妖 2020-04-03 21:48:47 |
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>23 / 透
( なるほど、そういう意味だったか。直接的な言葉により漸く理解できた気持ちにゆったりとした動作で頷いてみせ。「気をつけて触るのだぞ」尻尾は大切、ゆえに基本的には触らせることはしない。仕方無いなあ、と根負けしたのはその純粋さに惹かれたからであろうか。「我が載っていたとしたら見てみたいものだな。絵や写真の説明……書物のことか」幼子の説明に思わず笑ってしまいながら、冗談混じりに言葉を返す。勿論足りない部分もあるが、少年の話し振りからすれば充分なものだと言えるだろう。「そうか、なら良い」同胞である座敷わらしや人狼であれば、勝負をふっかけるに違いない。不得手な狐は頷くだけに留めて。「手作りか。透の母上は優しいのだな」面倒だったとしたらわざわざ作りはしないだろう。愛されているのだな、と言外に伝えるよう笑みを浮かべてちらりと視線を向け。「さあ、どうであろう?それより甘味処、行くのじゃろ」頬に触れる小さな手と真剣な顔付きが愛らしい。あえて頬はあると事実を述べないのはちょっとした意地悪。彼よりも大きな手で小さな手を握ったなら、そのまま甘味処へと連れ立って )
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