とある妖 2020-04-03 21:48:47 |
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>22 庵
( 「尻尾も触って良い?」右へ左へ揺れる尻尾につられて視線は左右へ移動。それと同時に持ち上げられる右手は既に撫でる準備が万端な格好だ。「……確かに庵さんは載ってなかった!でも耳と尻尾だけ狐さんに似てる!」長考の末に導きだした答えは、答えと呼べるかどうかも粗末なもので。「あ、図鑑はね、絵もあるけど写真もあって、それからせつめーがあるんだよ」よく知らない、と言うのに合わせて自身でも説明を試みるが、どうも向いていないらしく要領を得ない。それでも自身の中では納得が行った出来なのか、抱き締められた感覚と背中に感じる暖かい手に満足そうな笑みを漏らす。先導する狐の眼差しには大丈夫だと言うようにとん、と胸を叩いて見せ。「僕かけっこは好きだよ」得意と言わないのは無意識か、せめてものプライドか。「この前ね、お母さんが作ってくれたの。また作って、って言っても作ってくれないんだもん」ぷく、と頬を膨らませて不満げな顔を作る。「えっ、えっ?庵さんの頬は庵さんの頬じゃないの?じゃあほっぺたはどこに行ったの?」年齢にしては幼げな感性。悪戯は好きだが相手の言葉もまた悪戯と解釈するのは自分には難しい。真剣な表情でペタペタと顔を触り、頬がどこにあるかの探索中 )
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