ヘデラが全てを隠すころ　/　〆

っ！希八さんだ！ ( 声にビクッと肩を揺らすも、相手の姿が目に入ればぱっと明るい表情を見せ ) ただいま、…っあ！希八さんもおかえりなさい、お疲れ様！ ( 朝仕事に向かった相手の後ろ姿を思い出しそう伝えるとにっと笑い ) 今日寒かった！でも部屋あったかいね。 ( 自身の頬に冷えた手を当て )

あ゛～……、ちょっとだけ待ってくれ。幸せすぎて(　ただいまとおかえり、その響きが思っていた以上の攻撃力だったようでごくりと喉を動かして落ち着くように数秒目を瞑り　)直ぐ温かいのを淹れる、って言いたいところだけど。先に少しだけ抱きしめたい(　伏せてた瞼を持ち上げれば腕を開いて見つめるように視線を向けて　)

あったかいのより、希八さんのがあったかそうじゃん。 ( 腕を開いて待つ相手の反応に頬を緩めては、背負ってたリュックをその場に置いて相手の腕の中に入りそっと腕を背中に回し ) …やばい！ドキドキする！ ( 体が密着すると心臓が痛いほどドクドクして )

冷たいなあ、百瀬の方が冷たいなんて新鮮だ(　抱きしめた体の冷たさに触れるとその冷たささえも愛しくて慈しむように呟いて　)本当だ百瀬の心臓の音、聞こえるよ(　密着したからか心臓の動きを感じると揶揄うように笑いながら続け　)でも俺も、(　ほら、と早鐘を打つような心臓を示すように相手の手を取れば心臓の辺りに宛てて　)

いつもは希八さんの指凍ってるもんね、かちこちに。 ( あたたかい体温を感じれば緊張も何処か、心地良くそっと目を閉じ ) い、言わなくていいよ！ ( 少し体を離すと揶揄う相手の頬に手を伸ばして軽くむにっと摘み ) ……希八さん、ちゃんと生きてる。 ( 手のひらから感じる相手の心臓の動きに少し目を見開くもじっと相手の胸元に視線落とし )

そこまでじゃ無いだろ、大袈裟な( 眉を持ち上げれば手を閉じたり開いたり/くは、と吹き出すように笑って )生きてるし緊張してるよ( 気恥しそうに眼を細めれば照れ隠しで相手の肩口に顎を乗せて )君がここに居るだけで幸せなのに、おかえりって迎えたらただいまって帰ってくるんだぞ。幸せ過ぎて無理、( 顎を乗せたまま相手の背中に腕を回し )

でも、手が冷たい人は心があったかいってよく言うじゃん？ね？小学生とかが。 ( けらけらと笑いながら信憑性の無い謎の情報を口にして ) …俺でも希八さんを幸せにできてんだね、俺は今ものすごく安心した…。希八さんと居ると大事に思ってもらえてるのめっちゃ伝わってくる。だから俺も大事にしたい。 ( すぐそばにある相手の首元に頬を摺り寄せ、再度こちらも背中に腕を回してぎゅっと相手の服を握り )

懐かしいなあ、それ。何の根拠もないやつ(　肩を揺らして笑えば開いた手の平を相手に向けて　)じゃあ俺の心はとてもあったかいかもしれない(　ふざけるようにキリッとした顔を作って　)百瀬は百瀬のままでいてくれよ、それでなくったって君は気遣い上手じゃないか。俺と一緒の時くらい何も気にしないで楽にしてほしい(　その気持ちが嬉しくて仕方なければ顔を上げてから頬を一撫で　)疲れたろ、中に入ろうか

こういうのあんまり信じないけど、この迷信は信じたいと思うんだよね。 ( 相手の手のひらを指先でちょんちょん、と突き ) ふは、自分で言ってる！ ( キメ顔の相手を見てけらけら笑い声を上げ ) ……うん。…あ、今日サンドウィッチありがと！美味しかった。バイトの休憩中に食べたよ！ ( 相手の言葉を聞き終わると全てに対して小さく頷き / その場に置いたリュックを拾い上げ抱えては相手に視線を向け )

手が温かい人は心が優しいっていう迷信は強ち間違ってないな(　突く指先を手のひらで包むように握り　)本当か？それは良かった、簡単なのしか作れないんだ。(　喜ぶように口元に笑みを浮かべて　)百瀬は普段料理とかするのか(　部屋に戻れば振り返るように顔を向けて世間話のように問いかけて　)もしするなら今度教えてくれ(　背中をとん、と軽い力で叩いてから頼むように　)

なんじゃそりゃ！そんな迷信初めて聞いたんだけど！希八さんが勝手に迷信作った！( けらけら笑いながら握られた指をくいくい動かし )
料理は全く…いつもコンビニとかだよ。だからサンドウィッチ食べてたら、一緒にいた人にめっちゃにやにやされた。だから俺もにやにやし返した！ ( 首を横に何度か振り / ふふんと威張るように腰に手をやり ) でも、希八さんには負けると思うけど味噌汁くらいなら作れる、はず！ ( 顔の横でピース )

まさか！心理学の研究でちゃんと証明されていたはずだぞ( くすくす笑いながら最もらしい口振りで得意気に )温かい物に触れてると気持ちが優しくなるんだと。だから君と一緒だと俺も優しい人間になれるのかもしれないな( 指を絡めるように手を繋いで体温を感じながら調子のいい軽口を続けて )
────っぐ、なあんで君はこうも可愛いことばかり！それを聞いて俺がにやにやしてしまうよ( 不意打ちの言葉に心臓を打たれたのか誤魔化すようにわしゃわしゃと相手の頭を撫でて先を進み )それは今度きみの作った味噌汁に有りつけるかもしれないって期待しても良いってことかい( ゆるりと頭を傾ければ隠さない期待を目元に浮かべて )

何言ってんの！希八さんもう十分なくらい優しい人間じゃん、俺が保証してあげるよ！ ( 繋がれた手に内心驚きつつも表情は変えず、相手の手をぎゅっとこちらからも握り ) 俺のあったかいの、全部持ってって良いかんね！ ( 握った手をゆらゆら揺らして無邪気に笑い )
んわ！くしゃくしゃされたら目が回りそうになるんだけど！待って待って！ ( 外見にこだわりがないのか乱れた髪もそのまま先に進む相手の後を追いかけ ) …どうかなあ？というか、俺より希八さんが作ったほうが絶対美味いって分かんのに俺作りたくないよ！要領悪そうだし！ ( 話を逸らすように目線を泳がせ / 同様に期待の眼差しで相手を見つめ )

───やあっぱり、俺が優しくなれるのは百瀬がいるからだよ。( 欲の薄い人生を生きてきていれば周囲への関心だって余り無いままに過ごしてきたようで、無邪気な言葉が心に刺されば幸せそうに笑って見せて )寒い日は君のあったかさを貰うから、暑い日は俺の冷たさを全部持ってってくれ( 手の揺れを楽しみながら冗談のように続けて )
百瀬さんがあまりにも可愛いことを言うから好きな気持ちが抑えきれなかったんだよ( 乱されたままの髪型でついてくる姿を横目に見ては吹き出すように笑ってからさっきは乱した大きな手で整えるように触れて )……君、狡いなあ。俺がそう頼まれたら断れないの知っててだろ( 人差し指で眉間をぐりぐり押しながら )よーし！男葛籠希八、期待には応えるさ。何が食べたい？( 胸張り開き直るように )あっ、今日じゃないぞ、君には格好いい所を見て欲しいから練習するのに三日……いや！一週間くれ！

？どこからやっぱりになるんだよー…百瀬が居なくたって希八さんは優しいのに！でもまあ、なんか俺が役に立ってるみたいならいいんだけどさー…。 ( 相手の言う「やっぱり」は何処から来たものかさっぱり。不思議そうに頭を傾けるも、相手に何も返せていない自分が何か役に立ってるなら本望だと思考 ) ギブアンドテイクだ！早くあったかくならないかなー。 ( 何だか嬉しそうにそう言うと頭も揺らして浮かれ気分 )
百瀬さんそんなに可愛らしい事言ったかいな、ただにやにやの連鎖がすごかったっていう話っすよ。 ( 先に進む相手の横に辿り着けば頭を撫でられちょっとご満悦。顔だけ相手の方に向けてへらへら笑い ) よっ！男葛籠希八！カッコいいぞ！ ( キリッと眉を上げて煽てるも次いで聞こえた相手の言葉にガクッと / 喜劇 ) 一週間は長くて俺も待てないよ！絶対一週間後にはその気分じゃなくなってるー！ ( あはは、と楽しそうに笑い )

ん～、───俺は君が思ってるほど良い人じゃないってこと。好きな子に良く思われたいんだ(　くく、と肩を震わせるように軽さを含んだ笑い声を上げて　)それに君に好かれたくて一生懸命格好つけてる自分が嫌いじゃないんだ(　自分の首に片手を宛がえば少しの羞恥を持ちながら肩を持ち上げて　)言ったからな！暑いから引っ付かないでくれって言ったってもう遅いんだぞ(　肘を使ってうりうりと小突いて　)
無自覚とは末恐ろしいなあ。俺はねバイト先で俺を思い出してくれたってことが嬉しくて仕方ないんだよ(　きらきらと光るようなインナーの白色を指で撫でれば　)普段はもっと自分の感情をコントロール出来るんだ、なのに君が可愛すぎてにやけてしまう(　釣られるように破顔を見せて　)ははっ。その代わり一週間後にはプロ顔負けに仕上げてくるとも！(　吹き出すように笑ってから格好つけるようにニイと笑って　)

自分の事好きなのはいい事だね！それに、今そうやって希八さんは俺に好かれたくて格好つけてるけど。俺だって、多分希八さんからは嫌われたくなくて頑張ってる俺がきっといる。 ( 相手の方に向けてた顔をそっと逸らし ) 好きとか分かんないって駄々こねたのに面倒だね！ ( あちゃ、と笑いながら自分の頭に手を乗せ ) 言わないよそんなことー！もうウェルカムですよ。 ( 得意げに顎を軽く上げてふふん )
そりゃあ…だって、ねえ。頑張ろって思う時に思い出すよなんか。走馬灯のように。 ( けらけら笑って ) そうやって笑う希八さんも可愛いけどね、可愛い。 ( より一層表情が豊かに感じる相手の笑顔を見ては頬を指でつんつんと突き ) さすがすぎる…！希八さんの作った完璧な料理も食べてみたいけど、俺、一緒に何かを作りたいな。なんか希八さんとキッチンに立ってるの考えただけで笑いそうだけど。 ( 想像を巡らせては既にふふっと笑みが溢れ )

面倒上等だとも。俺のことを少しでも意識してくれることが嬉しいんだから(　くく、と喉を鳴らして笑えば相手の額に片手を触れさせてから自分の手越しに口づけて　)俺のことを好きになってくれる日まで格好いい希八さんを続けたいさ。だからゆーっくり待つよ(　額に当てた手を下ろせば恥じ噛むように笑って　)
走馬灯は縁起が悪いなあ、───！でもそれはわかる。俺も百瀬のことを思って仕事頑張れるし休憩の時には癒されてる。そうだ、もっと頑張れるように一緒の写真を撮りたいんだが(　そわそわとスマホ取り出して/期待するようにわくわく　)流石百瀬さん楽しいことを閃くなあ。(　片方の瞳を細めれば悪乗りをするように顔を寄せて　)是非やろう。何にしようか。う～ん、味噌汁に合わせるなら和食が良いだろうか、……あー、でもハンバーグとかカレーなら失敗はないよな(　計画も楽しいのか片手を顎に添えながら悩むように　)

…ごめんね、希八さん。 ( ほんの少し恥ずかしそうに笑う相手を見て何だか物凄く申し訳ない気持ちになり眉を下げ、下された相手の手をそっと取って ) あれからずっと希八さんの事ばっかりだよ俺。 ( 視線を落とし )
希八さんスマホちゃんと使えるの！？ ( 何よりもまず相手の持つスマホに目を見開き ) いいよ、撮ろ撮ろ！ ( 楽しげにスマホの画面を覗いて相手にぴったりくっ付き ) カレーもハンバーグも捨てがたいー……お味噌汁は朝起きたら希八さんが用意してくれてるんでしょ？ ( 小さくにやにやと頬を緩めて少し前に言われた相手の言葉を繰り返し )

馬鹿だなあ、謝ることなんて何も無いのに。( 表情を和らげればゆるりと頭を左右に揺らして )……凄く嬉しい、( 嬉しさを噛み締めればニヤけそうになるのを堪えて )
何を！スマホくらい人並みに使えるとも！( スマホ見せて/得意気に胸を張りながらカメラを起動して )あ゛ー……これは、思っていたより、緊張する。すまない百瀬、君がシャッターを押してくれ( 画面に二人で映れば自覚してしまう距離の近さに耳が暑くなり/気恥しさから視線を伏せつつ頼んで )百瀬が待っていてくれるなら、俺はいくらでも早起きをして作るさ( 伝えられた発言に調子のいい返事をしながら相手の鼻先をつんと摘んで )