Direktisto 2020-03-06 22:31:59 |
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>ドムさん
難しかったら手伝ってね。そしたら、一番に味見させてあげるから。
(まだその味も、実のなる様子も知らない果実。恐らく彼に買ってきて貰う他ないわけで、ほとんどを此処の洋館で過ごす自分からしたら彼は大切な情報源とでもいえるのではないだろうか。一人だけでいることに耐えかねて、すぐに一緒が良いという旨の言葉が出るのは珍しくはない。彼の思惑には気付くことなく、意識を留めて離さないのは目の前のクッキーただひとつ。一瞬で食べてしまうのは何だか勿体無くて、まずは一口だけ齧った。ほんの少しではあったが、それだけでバターの香りと甘い果実が協調し、食べやすく程よい甘さであると理解した。美味しい!と口にするより前に考えたのはその配分。砂糖は、バターはどの程度だろうか。何となくわかるのは毎日屋敷の中に籠り、ことあるごとにお菓子作りをしているからであろう)
>ローレンさん
うん、食べずに無駄になっちゃうのは勿体無いもんね。
(彼女の言葉にこくりと小さく頷く。鳩が来なかったとしたら固くて食べられないパンはカビが生えて腐敗してゆくのを待つだけである。それだけは避けたいし、鳥は自分のことを怖がりはしない。嬉しそうに啄む彼らを見ていると自然と癒される。差し出されたパンの欠片が入った袋を受け取ると、ガラス戸をゆっくりと開いてから彼女を真似て鳩へと中身を撒いてやり。袋を逆さにしてすべてが地面へと落ちたのを確認しては、「有り難う、またね」なんて友人にするかのように言葉を掛けてからサンルームを後にし。もちろんそんな様子を見て彼女が動きを止めているだなんて夢にも思わない。そうして自分もまた、彼女の髪の透き通るような桃色に見とれるのだ。沈む素振りの見せない光に溶けるような肌が酷く美しく思え、小さく呟いた言葉は彼女に聞こえただろうか。少しの間見詰めていたが、ふと我に返り視線を逸らして)
ローレンさん、綺麗……
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