奏歌翔音 2020-03-03 18:33:56 ID:5762b1903 |
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>烏丸桐恵さん
「はいはい、分かりましたよ」
そう言った刹那の声も震えていた。嗚呼そうか、この人は耐えてきたのだと。冷酷さの鎧で、悲しみや弱さを覆っていたのか。力を追い求めることで、人間としての弱さを隠し続けていたのか。涙にくれる烏丸さんを見ながら、そんなことを思った。
「ごめんなさい。………もうとっくに悪に染まっているはずなのに、涙が抑えられない。悪に染まらなきゃいけないと分かっているのに……本当に弱いな」
悪の組織に戻ると決めたとき―――信じてくれた正義の人を裏切ったとき、刹那は優しさや正義の心を捨てる覚悟でいた。紅葉やユーリを守るため、過去の仲間を撃たなくてはいけなくなったとき、躊躇わず引き金を引けるように。それなのに、烏丸さんの涙に動揺してしまった。彼女の痛みに共感してしまった。ぽつぽつとつぶやいて、烏丸さんの胸に顔をうずめた。
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