限界夢女子 2020-03-02 23:31:26 |
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>ルーピン先生
( 緩んだ口元は元に戻ることは無く、えへへ、なんて嬉しそうな笑みと声が溢れるばかり。彼に渡したクッキーもどうやら問題が無かったようで、ほっと胸を撫で下ろした。再び紅茶へと口をつけながら、砂糖を多く足す彼に一瞬言葉を失ってしまう。然し、人の好みは夫々だし、甘い物が大好きな男性だってこの世には沢山いる。寧ろ、同じ甘い物が好きなもの同士仲良く出来そうだ。なんて勝手に親近感を湧かせて、紅茶を啜ると、不意に聞こえた言葉。あまりの驚きに紅茶が気管に入りかけてしまってゴホゴホと噎せた。暫く咳き込んだ後、「急に何を言うんですか…!」なんて言葉を返したが、その顔色は朱色に色付き、視線も忙しなく泳いでいる様から図星であることは明白だろう。「そ、そんな、好きな人なんて、居ないですよ!」動揺のあまり、下手くそな嘘しか言うことが出来ない。紅茶を一気に飲み干せば、チョコレートを摘んで噛み砕いた。視線は相変わらず泳ぎ続け合わないままだ。段々と居た堪れなくなって、「そういえば、セブ、…じゃなくて、スネイプ教授に呼ばれてるんだった!」と急に喋ったかと思えば席を立ち、「ルーピン先生にまた今度お茶会しましょう!!!!」と言い残して、まるで脱兎のごとく部屋から走り去ると、そのままの勢いで想いを寄せる人物の部屋へと向かい、普段より些か強めにドアを叩いた。 )
>ミア
( リリーとジェームズの間に入って仲裁しながら、思い出すのは先程の事。彼女の表情は変わらず笑顔のままだったが、それでも何故か、傷付けてしまった、と感じた。彼女を傷付ける為にあんな曖昧な回答をしたわけじゃない。何か、何か言わなければ…。思考を巡らせている内に話は終わってしまって、上手く伝えられない歯痒さに下唇を強く噛んだ。それでも、次の瞬間には笑顔を取り繕う姿は流石と言うべきか。謝罪の気持ちに、なんて言うのもおかしいと考えれば、適当な理由を添えて、蛙チョコレートを彼女に押し付けるように渡すと逃げる様に親友達の元へとやってきた。2人の視線が此方へと向き、そして、2人とも怪訝そうな顔をしたが、何かを察してくれたのか追求されることは無かった。リリーと抱き合う彼女の姿を一瞥すると、柔らかく微笑み「ジェームズ、シリウスが待ってるだろうから僕達も行かないと…、ピーターはまだ中かい?」なんて、此方は此方で親友に話しかけ、名残惜しげな様子を見せるジェームズの腕を掴んで、店内へと入っていった。 )
【 リリー 】
───いい加減にしてちょうだい!
( 大事な親友と逸れてからどれ程の時間が経ったことだろうか。ずっと、探し続けているにも関わらず中々彼女と再会することが出来ない。若しかしてすれ違ってるのかも…と考えれば、一つの場所に留まることに決め、辺りをぐるり、と見渡した。此処から最も近い場所は羽根ペン専門店。其方に向かうと店横に立ち、少し不安げな顔で親友がやって来るのを待っていて。それから数分後、”エバンス!”と己を呼ぶ声がして表情が曇る。慣れたくないのに聞き慣れてしまった、覚えのある声。───そう、ジェームズ・ポッターだった。馴れ馴れしく話しかけてくる彼の言葉を適当に受け流して「ミア、知らない?」と一言、彼に尋ねてみたが矢張り彼も知らない様子。一緒に探しに行こうと誘ってくる彼の言葉を断り続けた結果、声を張り上げ上記の内容を喋った。一度、二度ならまだしも、かれこれ12回ぐらいは断っている。いい加減に諦めて欲しい。苛々を募らせながら、めげない彼に溜息を溢し、そこから更に数分が経過───本当に執拗い男だった。「行かないって言ってるでしょ!」最早何度目か分からない誘いを断っていると、此方に近付いてくる人影に気付き、彼と共に視線をそちらに向け。「ルーピン…!」ああ、良かった。やっと開放される。そんな思いを抱きながらミアの行方を尋ねようとした時、少し後方に見えた姿に表情を明るくさせ──「ミア!!」やっと会えた大事な親友!抱き締め返すと「ううん、良いのよ。私こそ御免なさい、」そう謝罪の言葉を交えながら、安堵の笑みを浮かべて。「無事で良かった。」と付け足すと、ジェームズと一緒に羽根ペン専門店に入っていくリーマスをちらりと見て「ルーピンと一緒だったのね?」なんて述べて。 )
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