ミステリアスで妖艶な雰囲気の美形(探偵) 2019-11-10 16:38:54 |
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…ッ!!
( 意に反して流れ落ちてくる涙は止めようと思っても止まらずに相手を困らせてしまうと焦って力任せに袖口でグシグシ拭っていたが、相手のぬくもりに包まれると小さく目を見開いて。抵抗することなくその腕の中に収まり聞こえて来たのは初めて聞く相手の声。抱きしめられていたので表情こそ見えなかったが、その声は今まで聞いた中で一番弱々しく切なくて胸が締め付けられるような思いになって。一体何が相手にこんな悲しくて切ない声を出させているのだろう。そう思ううちに、相手の匂いや髪を撫でてくれる手もあって気持ちが落ち着いてくれば、いつのまにか涙は引っ込んでいて謝る相手の肩口に顔を埋めたまま首を横に振って。「…違う、違うんだ…埜上は悪くない。…キ、キスも嫌じゃなかった。ただちょっとびっくりしただけ。」本当にキスは嫌ではなかった。本当に嫌だったら3分の間に相手を突き飛ばしている。自分でもはっきりとした理由は分からないがキスが終わったときに漠然と感じた感情は“このキスは指令だったんだ”という事実。もし指令がなかったら…相手が自分に口付けることなんてこの先ないのだろうと思って。暫く相手の肩口に顔を埋めていたが顔を上げるとニッと歯を見せていつものように笑って。「もう大丈夫。マジでびっくりしただけだから。…いやなんで泣いちゃったんだろ。」相手から離れて頭を掻きながらおどけたふうに笑ったところでまた紙が一枚通気口からヒラヒラ落ちてきてそれをキャッチして。「…サービス問題?これが出来たら暗証番号を2つお教えします。だってさ。……えっと俺が埜上を横抱きして20分耐えられたらクリア…。20分…、いや俺体力には自信あるぞ!」読み上げ不可とは書いていなかったので紙に掛かれた指令を自分の言葉に変えて相手に伝える。相手を横抱きすることは造作ない。が、いくら相手が男にしては軽いと言っても自分より身長が高い成人男性。それを20分抱え続けることがいかに大変かは馬鹿な自分でも分かる。が、これ以上相手に迷惑はかけられない。筋力はそれなりに自信があるため先程の涙はどこへやら元気よく頷いては、相手の答えを待たずに相手に近づいていくと膝の裏と上半に手を添えてヒョイッと軽々横抱きして )
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