愛たい人 2019-11-08 19:18:27 |
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(悦を知るなと父の声がする。憂いを現すなと母の声がする。道具でいろと先代の声もする。ずっとずっと地獄の中を生きて来た。それが当たり前であったからそういうものなのだと受け容れていた。だけど、この人は。この王様だけは、手を差し伸べてくれている。地獄の中で光を照らし続けている。"私を見ないで…もっと見て欲しいと思ってしまうから"と心の中で涙をぽろぽろと零しながらも呟けば、『お、おいおい、お嬢ちゃん大丈夫かい?彼氏さんも、彼女ちゃん泣かせちゃ駄目じゃないか』と頭上から第三者の声が盛れてきた。どうやら先程の射的屋の男らしい。勘違いしているようなので、首を振った。「好き…だから…どうしようもなく大好きだから涙が出ちゃって…」と)
『なんだ、惚気か……っておいおい、まさかのプロポーズだったりするのか?良いよなぁ、若いのは……っと、そろそろ店に戻んねぇと。お幸せに、な!』
***
ジョウトか…。
(そう言えば近い割には余り訪れた機会はない気がする。それでも、観光名所だということは知っているし、テレビで見るエンジュシティの街並みは特に目を引くものがある。"行ってみるか"と呟きながらも、一昔前に姉さんがアクア号の船のチケットを貰ったとか何とか言っていた事を思い出した。何枚かあるから息抜きにでも行って来たらどう?と言われたまま手を付けていなかった筈だ。ポケモンを使い、旅に出るのも良いが偶には船を使ってみるのも良い。その方が、ポケモン達にとっても憩いの時間になるであろし、海風に当たりながらのんびりとした時を過ごすのも普段とは違った安らぎになるであろう。財布の中に、チケットがあるのを発見すれば彼女の手に一枚乗せて口角を上げて「取り敢えず、クチバまで行ってコレでジョウトまで行きましょうか、お嬢さん?」と述べ)
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