! 2019-11-01 16:11:42 |
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※流血表現など有り
やっと自分の願望を素直に口に出すようになった、半年前に助けた痛々しい傷跡だらけの少女、スロータスの頭を撫でているのは、名前の通り太陽のような笑顔の男、ソレイユ。とてもそうは見えないがシャトーファミリーの幹部であり、不慣れなとても小さな笑みを、そう、強制的な左側の笑みではなく、自分の意思で浮かべたその笑みにより一層嬉しそうに笑みを深めると「あのね、ソレイユさん、あの、ねっ……手、繋いで、ほしい、のっ」絞り出すような声音で、申し訳なさげな表情で言うので、すぐに手を繋ぐ。やっとこうやって、自分のしてほしいこと言えるようになったんさねー、と嬉しくてたまらず、彼女からも、やはり遠慮がちにでは握り返される。最初は、自分は汚いから、と、全く触れてこなかった。それがやっとこ。
不意に現れたのは、外道そのものの笑顔の男、それを見た瞬間、スロータスはふラッシュバックを起こし、彼女を心身共に壊した医者への謝罪を只管繰り返す。それで理解した、この男は医者が彼女に取らせていた客の一人、だと。
男が銃を此方に向けようとしているのを視界に入れた瞬間、からだが勝手に動いていた。やっぱり、ヒーローみたいにはうまくいかないんよ、なんて、銃弾を受けながらぼんやり考えつつ、しっかりと男に狙いを定めマスケット銃で、ヘッドショットは見事成功、しかし。
「ごめ、ん、さね……」
約束、護れなかったんさね、泥の中でもしっかりと花を咲かせるスロータス(蓮)みたいに、いつか本当に幸せに笑えるまで一緒に、って、約束、したんよ。撃ち抜かれた痛みも、自分から流れ出す血の感覚すらも曖昧で、霞み始めた視界に、泣きじゃくりながら只自分の名前を叫び続けるスロータスを確かに捉え、必死に手を動かし、何とか頭を撫でる。
「あり…と…………」
半年、一緒にいたその半年は自分にとって、そう、様々な犯罪行為を重ね、殺人さえ平然と出来るようになった、地獄より深い底なし沼に沈みきった、救いようのない人でなしの自分でも、心の底から幸せになってほしいと願う、そんな忘れていた感情を思い出させてくれ、幸せを与えてくれた少女、だから最期に心からの感謝と、いつかすろータスが、幸せに、な………。
――少女は彼の願いに反し、自ら外道に成る決意をし、望んで底なし沼に沈み続ける。
【スペース感謝、某オリなりで使用中の、あるキャラの過去。お前の使用キャラが幸せ=絶望へのフラグ、って言われたことあります←
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