名もなき妖 2019-06-23 19:17:07 |
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ああ、ありがとう──って。おい、こらあんまり暴れるなって!
( 友人の少女の言葉を借りるならつるふかな毛並みの体をなんとか腕の中におさめると瞬間、鼻腔をアルコールの強い臭気が襲い思わず眉間にシワが寄るも暴れるニャンコ先生をぎゅっ、と強く抱きしめ。しかし不意に耳元で囁かれた言葉に「え…、」と体が揺れ一度だけ瞳を瞬かせてから改めて相手の顔を見据え。頭上で咲き誇る花と同じ色に染まった髪、穏やかな声、春色の着物、確認するように視線を巡らせていくがやはり思い当たる節は無く。会えてとても嬉しいと言ってくれた相手との思い出をどうして思い出せないのか…もどかしさと罪悪感から瞼を伏せ、知らず先生を抱く両腕に力がこもり、 )
前にどこかで会ったか?…すまない。子供の頃のことはあまりよく憶えてなくて…。
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