梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>梔
(自分の眠りは育った環境もあって浅い。と言ってもこの界隈で生きる人間ならいつ何時何が起きても対応出来るよう、よっぽど安寧が保障されない限り熟睡することはないだろうが。そのためほんの少し、微かに感じたドアの向こうの気配に気付きうっすら目を開け、反射的に枕の下に忍ばせてある短刀に手が伸びる。しかし、誰かまでは分からないが敵ではないと分かると再び襲ってくる睡魔。どうやらあの兄弟の見解は正しかったらしい。疲労からくる眠気に抗えずに短刀から手を離し瞼を閉じると静かに寝息を立て始め。ドアの外では梔の部下が現状報告として電子機器で梔に榊が眠りにつき、アジト内でも異常がない旨の報告をしていて。
少女は相手のポケットから出てきた箱に釘付け、目を大きくして掌に乗るのを待つもその前に聞かれた問いに、弱冠5歳にしてそれが交換条件なのだと悟って写真に視線を落とす。そして二枚の写真を見比べて小さな口を開きどちらかの写真を指差そうとした時だった、さっと少女の背後からその小さな手を包み込む手が。少女の兄である青年だ。青年は相手をじっと見据えながら少女を守るように自身の背後に隠すと写真を見て、またすぐに相手をじとりと睨み『…誠なら最近ここには来てねえよ。でもあっちに住んでるオヤジが誠から良いもん貰ったとかで金にしてたのは見た。あんたの言う短刀かどうかは知らねえけどな。…そっちの男は知らねえ奴だ。』と暗闇の中にある“オヤジ”の小屋がある方向を指差しながら淀みなく話し、最後に茉莉花の写真を顎でしゃくる。青年は榊と面識があり、それは榊が定期的にスラムに訪れる中で施しを受けるなどして持ったもの。青年は榊を知っていることを隠さなかったし最近榊が来ていないのも本当だが、後に続く文言は茉莉花本人に吹き込まれた嘘。ただこの手の嘘は吐き慣れていたため、表情にも声にも一切ブレはなく。『で、教えたんだからそれ寄越せよ。…いや情報分上乗せだ。金、持ってんだろ?』と相手の手の内にある箱をチラと見て臆することのない瞳で相手を見据えて片手を突き出す。その瞳は鋭いながら背後にいる少女を守り生きるのに懸命な瞳で。)
(/前半ロル(榊)はスルーして頂いても大丈夫です!脇役だけの絡みになってすみません…。蹴り可です。)
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