梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>榊
(朝、携帯が着信を受けて震える音で意識が浮上する。ぼうっ、とする頭で布団を抜け出そうとするも、怪我と痛み止めの副作用で頭への鈍痛と体への鋭痛が走り、唸りながら電話を取ると掛け手の茉莉花から『ある闇カジノに大蛇が一枚噛んでいるかもしれない』と簡単に説明される。動揺とともに常の服に着替え、着流しを畳み、きちんと布団を戻した後で少し思案する。彼にはどう伝えるべきか。一瞬真偽疑わしい問題であるため確実な裏が取れるまでこちらで調べるべきかとも思ったが、先日の彼を思い出すと、この情報を彼に現段階で伝えるべきだと思い直す。常ならば冷静なその双眸で自信を見失わず、自分が傷つくのも構わず他人のために優しくなれる彼があれほどに復讐を願う相手。彼の身に起こったことは、自分のちっぽけな想像力では補い足りないほどの暗い影をその暖かな心に鋭く差し込んだのだろう。復讐を遂げた時の甘美な喜びは自分もよく知っている、彼がそれを望むのなら、自分はその為に尽力したい。真偽疑わしい問題であることが唯一ひっかかりはするが、それよりも彼に隠し事をしたくないという心情が強かったこともある。そうと決まれば軋む関節、揺れる視界達に鞭打ち、彼の部屋の前まで進むと襖の前に正座し「おはようございます、榊さん。朝から申し訳ありませんが、少々お話ししたいことがありまして。」とすっかり昨晩の自分が彼に対して行ったやや過度なスキンシップのことも忘れて声をかけ)
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