梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>榊
(彼が床についたことを確認し、その部屋の前に護衛として2人の部下がつく。一方は彼、榊の部下であり、もう一方は自分、梔のお抱え部下…どちらも自分の指示で配置したものである。裏切り、茉莉花…彼の周りには危険が多すぎる。更に不安要素としてはストーカーの男だって甘く見てはならない。此処はクライム、狂信的な一般人だってそこらかしこにうようよいるのだ。本当は自分が彼の横に立ち、守るべきなのだろう、と悔しいが、そこに彼の寝顔が見てみたいという我欲が混ざるのも否定できない。彼は安眠できているのだろうか?真黒に輝く真珠のような瞳が、ふくらとした瞼の中に隠れ、美しく長いまつ毛がその縁取りをする様子を見ないと心配になってしまうのだ。
そんなことを考えながらスラムの中を歩いていると、悪い足場にもかかわらず素早い動きをする者を察知し、暗器に手をかけるも、それが正面に立つ少女だと分かるとその手を離して。「…1人か?」今まで何度かスラムに来たことがあり、その度にこの手の物乞いは経験した事がある。大体は気にしていなかったし、何とも思わなかったが、彼女の目を見た途端、彼の目を思い出してしまった。無垢とは、ぬくぬくとした箱の中で無知なまま育つ瞳に宿るものではなく、全てを目にしてもなお純潔である姿勢の先に宿るもの。その光はどんなに汚れた場所であろうと、濁る事なく煌々と光を閉ざさない。彼の瞳に宿るものと通ずるものを目にすると、無意識のうちに絆され、上記の質問を投げかけつつ何かあっただろうか、とポケットを探り。その内、ふと指先に触れた箱を取り出すとそれは夕飯用に、と構えていた固形栄養食であり、彼女の掌の上で掲げ「…この辺りで二振りの短刀か、どちらかの人を見なかったか?」と逆の手で榊と茉莉花の写真を見せて問いかけ)
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