梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>梔
(彼の一歩引いた控えめな言葉、そしてその表情が花の色が移りゆくように艷やかに変化していくのに目が逸らせなくなる。自分が望めば、望まなくとも傍らに咲いてくれている花はただ美しいだけではなくて、悪戯に自分の心を燻り高揚させる。先程まで彼を遠ざけていたというのにその熱が腕のほんの一部に触れただけでトクリと鼓動が跳ね上がり離したくないと心が震え。こんなにも単純で利己的な自分など呆れられたりしないかと不安を抱きながらも視線も心も彼から離せなくなっていて「…こよなきお附きだよ。」と小さく頷き柔く微笑みを零して。
彼と共にその場を離れて持ち家に着く頃にはすっかり日も暮れており、彼を客間に通してはそう言えば以前も此処に彼を招いたときも彼は怪我をしていたなと。思えば彼には怪我をさせてばかり。特に今回の傷は…とまた落ちそうになる気持ちに首を横に振ると彼に振り返って「…疲れたでしょ。布団はすぐに準備するけどもし身体を流したかったりお腹が空いていたりしたら遠慮せずに言うんだよ。」と以前の調子に戻しつつ彼の髪をぽんと撫でてやりせめて今は彼の怪我の療養に専念できるよう尽くそうと微笑みを向けて。)
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