梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>梔
(取り返しの付かない過ちを犯した愚かな自分の意図を正確に汲み取り動いてくれる部下と、彼。普通であれば背を向けられてもおかしくないのに未だ自分を信じてくれる彼らに胸が熱くなると同時に刺すような痛みも伴い。それでも今は傷心している場合ではない。敵が待ってくれるはずもなく、左手から大量の血を流してヤケを起こす赤髪の男の命令によって手下の一人が突貫してくるのを刀でいなし、よろめいて無防備になったその項に刀の持ち手で鉄槌を食らわせ床に沈め。それに続く形で武器を手にした部下と茉莉花が赤髪の手下を制圧していく。それを横目に把握しながら視界の端に映ったのは彼が腕に注射らしきものを刺す姿。あれは一体…と考える間もなく自分を庇うように赤髪の男との間に立つ彼の背中にざわりと胸が騒ぎ。その靭やかな体は既に消耗しきっているはず。それでも尚その立ち姿は翳りなく高潔さを失わない。守りたいと思った。彼を、その心を、許されるならその信用を──少なくとも今だけは。刀を持つ手に力を込め一歩二歩と足を進め彼の前へと出ようとした時だった。『畜生!! 役立たず共めが!! こうなったらお前達全員俺らと一緒にあの世に道連れにしてやるよ。残念だったな、榊さんよ。アンタが大人しくしてれば命だけは助けてやったのに!! ハハ、ヤマトのツートップ殺して死.ねるなら本望だ!! 』手下をやられ左手を失い大量の失血で気でもおかしくなったのか、赤髪の男は狂ったように叫んで笑うと胸元から手榴弾を取り出して。その手榴弾は通常よりも大きく爆発力も甚大でこの部屋1つなら容易に吹き飛ばすことができると予測でき。『…リーダー…ダメです。逃げてください。』息絶え絶え聞こえた声は床に伏す赤髪の男の手下のもの。その声が当人に届くことはなく今にも安全ピンを口に咥えて抜こうとしているところ。此処は二階、窓から飛び降りて脱出することは可能だが、全員の無事を確保するには大元を潰すしかない。自分の落とし前は自分で──、「全員窓から退却!! 」普段滅多にしない声張った命令を下すと共に、窓へ…ではなくその逆、赤髪の男の手から手榴弾を奪うべく大きく一歩を踏み込み前に立つ彼の横を通り過ぎようとして。)
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