御鏡 2019-03-23 18:45:40 |
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皆様、お久しぶりです!
思い付きのものを一つ…
暗い部屋に、スーツを着た青年と
ラフなシャツの青年が向き合って座っている。
「…ゼロ・シャーウッド。1995年、
リベル塔にて…」
スーツを着た青年が立ち上がって呟くと、
目の前の青年はさらさらとペンを動かし始める。
まるで印刷物のような筆記体で、鉄のペン先が
紙を引っ掻く僅かな音だけが響く。
その流麗な文字と筆記速度の実現は、
生者のそれでは不可能である。
無論それは、【屍者】を以て可能となる。
「………フライデー」
呼び掛けに、フライデーと呼ばれた、
年若さを永遠に固定された青年型の屍者は
一瞬動きを止め、ペンを置いてから
えらくゆったりとした動作で首だけをこちらに
回す。
机に置かれた生首が自らの血に滑るように。
細部としての動きは完璧なのに、どこか
生者とは異なっている。
今指令を待って、こうしている間でさえも。
何故か停止している屍者と、死者の区別は
小さな子供にでもつく。
個体識別名…フライデー。
その虚ろな脳に運動制御用エンジンと
拡張言語エンジンを書き込まれた、二重機関の
屍者だ。
「…不気味の谷」
フライデーはこちらを向いたまま、私の発言を
活字に変えて紙へと走らせる。
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