煮干し 2019-03-19 14:02:31 |
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「っぐ…ひくっ…」
最近、ずっとこの子は泣いてる。
私はこの子を知っている。一年位かしら?前に、別れを告げた男の子と一緒に歩いていたわ。輝いてて私も嬉しくなってたの。
「…ごめんなさい…っぐ…」
また泣いちゃった。
この子を助けてあげたい。けど、私は所詮木。助けられない。
神様は不公平よね…。
私がそっと包んであげられたら…。もし、あの子を勇気づけられたなら…。そんなことばっかり考えてしまうの。
「…」
ボーッと何処かを見つめてる。その目線の先には、知らない女の人と別れを告げた男の子。楽しそうに微笑んでる。笑ってる。手を繋いでる。
胸が苦しくなるわね。
「あーあ、私、やっぱり捨てられたんだ…ハハハッ馬鹿みたい。自分ばっか夢中になって」
ふらりと立ち上がったと思ったら、次の瞬間、パンッと乾いた音がした。
「え?ちょっと賢司?大丈夫?」
知らない女の人が男の子を心配する。
「な…。尚…何で此処に…ってぇー」
男の子が殴ろうとした。手は、顔の目の前で止まっている。
「私、あんたに捨てられたんだね…一発殴りたかったの。今までありがとう。お幸せにね。あと、殴ってごめんなさい」
そう言い残して、その子は、私のいる所から居なくなった。あの二人はポカーンとしてる。
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