名無しさん 2019-02-15 21:42:45 |
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拓人君〉
(聞き覚えのある声に顔を上げる。一番初めに自らの前に現れたその人物はこの学園の頂点に立つ男__生徒会長である桐生 拓人で。まだハッキリとしない意識と戦いながら彼の「おはよ」、という言葉にいつものような小さな声で「お早う御座います」と告げれば控えめに笑みを浮かべて。着こなされた制服も、身嗜みも、生徒会長としての威厳を兼ね備えていて。軽く会釈をすれば悪くない見た目だ、と彼は賞賛の言葉を述べてくれる。やることなすこと全てがぶっ飛んでいる彼だが、生徒会役員には少々甘いところがあるのは知っている。微笑を浮かべている彼の目を見ることはできずに俯けば、自分の目の前へと彼は腰掛け。箸に伸ばされたその手は静かに降ろされた。見られている、と感じた数秒後に彼が発した言葉にピクリと肩が跳ねる。相変わらず高圧的な態度に変わりはないが、その優しげな雰囲気は自分を心配してくれているというのは明確で。)
「…えっ、と…まだ、実感が湧かなくて。
…自分が生徒会の役員、だなんて」
(嘘は吐いていない。けれど、完全に真実を述べた訳ではない。自分にはそれだけではない、沢山の不安があるけれど彼等には迷惑を掛けられない。自分も生徒会の役員の1人なのだ、この学園の風紀を乱さない為にも秩序を守るのは当たり前。笑みを浮かべながら威厳のある会長に目線を向ければ直ぐにふいっと目線を逸らして。)
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