罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>梔
…毒虫?…ふ、ふふ、可愛い弟に随分な言いようだね。
(隠すも何も本心を言ったまで、茉莉花の出した例えに目を瞬かせるも一呼吸置いた後、小さく肩を揺らして笑い、皮肉めいた言葉も軽い冗談と受け取って久々に兄弟の“戯れ”に触れた気がして微笑ましくなれば楽しげに目元を緩め。しかしふと遠くを見るような目で手に持つ酒杯の中の水面に視線を落とし「でも、梔が毒虫なら喰らいつかれた花は本望だろうね。」とうっそり呟いて。そう、もし彼が毒虫だとしてもその姿は花よりも美しく、花は毒があると分かっていてもその毒に溺れて、自ら喰らいつかれることを望み誘うだろう、と。花が自分とは言わない。ただ、ついぽろりと零してしまった心の内側。茉莉花の前では昔からそうだ。彼が歳上だから、だけではない。その纏う空気と雅量。そこはかとなく灯る瞳の奥の怪しい光でさえ心を捉え、いつのまにか彼の纏う空気に取り込まれてしまう。だから、彼の手が背に触れて撫でられるのに誘発さるように瞳に微かな影を落とし小さく口を開いて胸中を零しかける。息を吸いまさに言葉を紡ごうとしたときだった。酒杯の水面に映る照明の灯りが、いつか彼と、梔と宣誓を交わした宵の月と重なったのだ。それを見てふっと小さく笑むと水面の光をゆらりと揺らして「本当に兄弟そっくりだね。言うことが似てる。」と目を細めていつも己の心身を気遣う右腕の存在を想い酒を口にして。「まあ、しんどくないと言ったら嘘になるだろうね。上に立つ者が責任を担うのは突然のことだから。でも辛いのは俺だけじゃない。それにどんなに辛くてもその痛みが優秀で大事な部下たちの上で成り立っているものと思えば俺はそれを誇りに思うよ。」と穏やかな声色で話す。かと思えばさらっと常の緩い笑顔を纏い「俺が組織に入りたての時は貴方に散々迷惑かけたけどね。」とまだ組織に対して疑心暗鬼で独断行動が目立っていた頃を思い出し小さく笑って。その時、カウンターの上に伏せて置いてあった携帯がブウウと震える。話している時に見るのは憚られたが緊急の場合もあるので「ちょっとごめんね。」と断りを入れてやや離れた場所に置かれた携帯に手を伸ばし。その体勢が、携帯が茉莉花寄りの場所に置かれていたこともあり傍から見ると榊が茉莉花に丁度寄りかかるかたちに見えなくもなくて。)
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