罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>梔
(相変わらずの兄、茉莉花を毛嫌いする相手の物言いにイチは喉をクツクツ鳴らして笑い『兄弟だろー、折角の帰国なんだから喜んでやれよ。』と相手の渋い顔を面白がって。それでも“忘れ物”と聞けば何のことか分らずとも深い事情があることを察し、んーと喉元に手をあて唸りながら真剣に思考を巡らせ。『多分此処にはねぇと思うぜ。誰かが間違って持っていったにしてもここんところバタバタが続いて怪我人も多くでたから救護室の人の出入りが多かったからなぁ。正直俺も誰が此処に立ち入ったかまでは把握しきれてねーんだよ。あーそれか荷物整理んときに紛れてどっか仕舞われちまったとか?』と“忘れ物”が不特定多数の誰でも移動させることが可能だったことを示唆し、『にしても梔が“忘れ物”なんて珍しいよなぁ。もしかしてお前のこと好きなやつがコレクションとして持ってたんじゃねぇの?』と自分でもやりかねない、むしろ相手のものなら私物化したいと本気で思いつつ冗談半分に笑い飛ばし『まあ俺に協力できることなら何でも言ってくれ。』と相手の胸をポンポン叩いてニッと笑い。
一方、夜道。流暢な褒め言葉に「兄弟揃っておせじがうまいねえ。」と茉莉花の気など知りもせず本気にしないでのんびり笑って返しながら、弟に対するやや棘のある言葉も兄弟喧嘩の延長、むしろ可愛い弟を気にかける不器用な愛情表現と勝手に受け取って「梔は俺には勿体無いくらい働いてくれてるよ。飽きて捨て置くことなんてないから心配しないで。」と緩く笑み。と話している間に一件の奥まった場所にあるこじんまりとした木造の居酒屋にたどり着く。そこは席代さえ払えば自前の飲み物を持ち込んでも良い店。人の出入りも少ないことから何度か足を運んでいる場所で。カウンター席に並んで座ると店主が用意してくれた酒坏に兄のものから酒をついで「…今更だけどアジトで飲んだほうがよかったかな。貴方が行くときっとみんな喜ぶだろうけどゆっくりはできなくなるだろうと思って此処にしたけど。…弟の顔は見たかったよね。」と配慮が足りなかったことに申し訳なさげに眉を下げ微笑み。今からでも梔を呼び出すか…いやでも病み上がりだしと悩みつつもポケットから携帯を取り出し「…呼ぶ?」と兄である茉莉花の意志を確認して。)
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