罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>梔
(唯でさえ不利な状況、更には右腕を負傷しているにも関わらずそれを感じさせない俊敏で無駄のない華麗な動き。此方が手を貸す必要もなくあっという間に男達は地に伏していく。その彼の勇姿を少しでもこの目に刻みたいのだが動いたことで残っていた毒が回り始め視界を白ませてしまうのが何とも惜しい。走り寄ってくる相手の声はいつになく取り乱していてそんな彼の表情ももっとはっきり見たかったなと呑気に思いつつやや苦い笑みを零し「平気…って言いたいところだけどちょっと怠さはあるかな。まあ休めば何ともないよ。…それより腕は大丈夫なの?…これは?触ってるの分かる?他に気分が悪いとかはない?」と相手の右手を取って軽く握り、二の腕から手首にかけてそっと手を滑らせ心配もありつい問い詰めてしまい。そんな時に聞こえた耳障りな男達の呻き声、動けないうちに意識だけでも奪っておくかと残りの千本を手にしようとしたとき、此方に駆けつけてくる複数の足音を耳にしてその中に我が部下の声を聞き取ると咄嗟に自分の膝丈まである上着を相手の肩に掛けて靭やかな体を覆って。「ボス、梔さん!ご無事ですか?! 地上の敵部隊は鎮圧済み、此方に負傷者はありません。」と部下が息を切らし報告に来て、他の部下達も入ってくると忽ち男達を拘束、捕獲していく。それを見て緊張が緩んだのか僅かに体の重心が相手に傾きかけるも辛いのは相手も同じ、なんとか持ち堪えると透き通った紫眼を見て「…休暇中だったのにこんな怪我までさせてごめんね。…でもよく此処がわかったね。」と眉を下げて笑んだあと不思議そうな顔をして。)
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